不動産鑑定士試験ガイド!論文攻略が合格への決め手、合格率、難易度、学習方法まとめ

不動産鑑定士試験の難易度、合格率、勉強法などについてまとめます。

不動産資格の最高峰!不動産鑑定士とは?

まず試験の分析の前に、不動産鑑定士の魅力について。最初に知っておくことで、今後の学習のモチベーションも上がるでしょう。

不動産鑑定士とは、「不動産の価格を鑑定」する仕事です。個別の不動産物件の価格評価はもちろん、路線価や公示価格など公(おおやけ)の仕事、また会社設立の際の現物出資の評価(不動産)など、幅広い業務が魅力です。

不動産の取引は価格が高く、その評価となる鑑定方法(鑑定評価)も「細かく」かつ「正確さ」が求められます。だから試験も難しいわけです。

【動画】「不動産鑑定士という選択(国土交通省)」。想像以上に仕事の幅が広い不動産鑑定士の魅力について。子育て中のママさん鑑定士も。



【こちらもおすすめの動画】「不動産鑑定士になろう(日本不動産鑑定士協会連合会広報委員会)」
https://youtu.be/URsQT4k8hPk(ユーチューブ)

試験は短答式と論文式の2つ!論文試験の攻略こそ、合格への決め手

ここから不動産鑑定士試験についてです。試験は2つから構成されています。なお、試験合格後に実務修習を修了することで、原則として不動産鑑定士として登録が可能です。

受験生

司法試験の司法修習みたいな感じやね

短答式試験の出題科目と学習方法

最初のステップ短答式試験。毎年5月に実施されます。次のような特徴があります。

短答式試験のポイント
  • 試験科目は「行政法規」と「鑑定理論」の2つ
  • 「行政法規」は不動産鑑定士の業務で必要となる37法令が出題されるが、知識型の出題なので攻略は難しくない
  • 「鑑定理論」は短答・論文の両方に出題され、配点も高いメイン科目(最重要科目)
  • 一度短答式試験に合格すると論文式試験が最大で3回受験可能!

まず「行政法規」ですが、「土地基本法」「都市計画法」「建築基準法」「不動産登記法」「農地法」「森林法」「景観法」「文化財保護法」「土壌汚染対策法」など多くの法令が出題されます。

もっとも知識があれば解ける問題が多いので、通信講座などで基本事項をマスターし、過去問演習を繰り返す、これがベストの学習方法でしょう。

そして「鑑定理論」。短答式のみならず、論文式試験でも出題されるメイン科目です。

短答式対策→論文式対策の学習という流れもありますが、5月の短答式試験から8月の論文式試験への時間の少なさ、また論文式試験のボリュームを考えると、短答式と論文式の同時並行の学習がおすすめです。

論文式試験の出題科目と学習方法

一番の山場である論文式試験。毎年8月に実施されます。次のような特徴があります。

論文式試験のポイント
  • 3日間にわたり、試験が実施される
  • 試験科目は「民法」「経済学」「会計学」「鑑定理論(論文・演習)」
  • 司法試験合格者などは科目免除も

実施スケジュールは、1日目は民法・経済学それぞれ2時間(2問)、2日目は会計学・鑑定理論(論文)それぞれ2時間(2問)、3日目は鑑定理論(論文2問)と(演習1問)それぞれ2時間です。

知識があれば合格できる短答式試験と異なり、本質的な理解、体系的理解が求められる試験です。

また鑑定理論(演習)では、実務に近い事例問題が出題され、計算の必要など高度な処理能力が求められます。

受験生

まる3日間はハードやね。体力勝負や。

知力、体力、時の運」というフレーズがありますが、まさにそんな感じ。重要論点はもちろんのこと、未知の出題テーマでも対応できる答案力も大切です。

そんな最難関の論文試験に立ち向かうには、スクールの論文式講座を受講し、答練など実際の答案を添削してもらうのがおすすめです。

【無料】分析動画で短答式と論文式の出題傾向&難易度分析!

不動産鑑定士試験の指導経験が豊富なLEC東京リーガルマインドでは、年度別の分析動画(短答式および論文式)を無料で公開しています。

収録時間も1時間以上と、有料講座並みのボリュームです。無料で公開されている今、ぜひ参考にして本試験突破に役立ててください。

短答式と論文式の合格ライン

ここで短答式と論文式試験の年度別合格ラインを記載しておきます。どちらの試験も大体の合格ラインは決まっていますが、科目別の足切りライン(合格基準点)があるので注意が必要です。

試験ガール

不得意科目を作らないように頑張ろう!

短答式試験の合格ラインほか各種データ

受験者数 合格者数 合格率 合格ライン
令和元年 1,767名 573名 32.4% 70%以上
平成30年 1,751名 584名 33.4% 68.75%
平成29年 1,613名 524名 32.5% 67.5%
平成28年 1,568名 511名 32.6% 63.75%
平成27年 1,473名 451名 30.6% 70%
平成26年 1,527名 461名 30.2% 60%

 科目別に設定された必要最低得点比率を満たさない者は不合格となります。
データ元不動産鑑定士試験 試験結果情報|国土交通省

試験ガール

年度にもよりますが、70%の得点率で安全圏と言えそうです

論文式試験の合格ラインほか各種データ

受験者数 合格者数 合格率 合格ライン
令和元年 810名 121名 14.9% 353点以上
平成30年 789名 117名 14.8% 376点
平成29年 733名 106名 14.5% 347点
平成28年 708名 103名 14.5% 348点
平成27年 706名 100名 14.2% 378点
平成26年 745名 84名 11.3% 294点

 各科目の配点は、民法・経済学・会計学がそれぞれ100点、鑑定理論が300点の合計600点満点。また科目別に設定された合格基準点を満たさない者は不合格となります。
データ元不動産鑑定士試験 試験結果情報|国土交通省

試験ガール

年度にもよりますが、最近の最終合格者の平均年齢は35歳前後。宅建などからのステップアップや、働きながら合格された方などさまざまです

そして論文式試験の合格後は、実務修習だけとなります。無事修了すれば、不動産鑑定士として登録ができます。

独学で合格できる?効率よく合格を目指すには?

短答式試験だけならば、独学でも市販のテキストと過去問題集で合格が目指せると思います。

しかし最終目標である論文式試験となると、「試験の傾向分析」や「答案の書き方」、「鑑定評価基準の理解を伴った暗記」など、独学で合格を目指すのは、かなり難しいと思います。

やはり指導実績の高いLEC不動産鑑定士講座など、大手スクールを利用するのがおすすめです。

受験生

お金に余裕がないんやで

LECでは、「早得」や「タイムセール」、作文を書くだけで最大30%割引になる「Web奨学生」など各種キャンペーンを実施しています。このような割引制度も利用も検討されるといいでしょう。

【受験制度見直し】不動産鑑定士試験の難易度が易しくなる?

不動産鑑定士は、司法試験や公認会計士などと並び最高峰資格であり、収入や地位も期待できるかもしれません。

もっとも合格はかなり難しく、合格まで数年かかるケースも。そんな不動産鑑定士試験の合格がしやすくなるかもしれません

不動産鑑定士の確保急げ 国交省、受験者減で制度見直し
2017/6/16 23:42日本経済新聞 電子版

 国土交通省は土地や建物の価格を評価する不動産鑑定士の制度を見直す。鑑定士試験の合格条件を緩和するほか、農地の評価を鑑定士の業務に新たに加えるのが柱だ。鑑定士の受験者数が減少する中、業務内容と受験間口の拡大で人材確保につなげる。同省の懇談会が鑑定士制度のあり方に関する報告書を作成。今後、不動産鑑定評価法など関連法の改正を検討する。

引用日本経済新聞

受験生

もっと詳しく!

試験制度の見直しについて(国土交通省)

文字数が多くなりますが、試験を実施する国土交通省サイトから引用します。

試験問題の見直しについて
平成28年不動産鑑定士試験より、以下のとおり試験問題の見直しを行います。なお、民法・経済学・会計学については、さらに検討を進め、平成29年不動産鑑定士試験から必要な見直しを行う予定です。

1.短答式試験関係

【不動産に関する行政法規について】
・昨今の不動産市場を取りまく状況等を踏まえた重要性の観点から、現在出題対象としている法令の一部を出題対象から除外する。

【鑑定評価に関する理論について】
・ 不動産鑑定評価基準及び同運用上の留意事項(以下「鑑定評価基準等」という。)の理解度を問うことを主眼とするものとし、実務的な知識や実務経験を有さなければ解答が困難な問題(例:具体的な鑑定評価の場面を設定し、鑑定評価の各手順における実務上の取扱いや留意点を問う問題等)の出題数を現行よりも削減する。

2.論文式試験関係

【鑑定評価に関する理論(記述問題)について】
・ 鑑定評価基準等の理解度及び基本的な応用能力を問うことを主眼とするものとし、実務的な知識や実務経験を有さなければ解答が困難な問題(例:具体的な鑑定評価の場面を設定し、鑑定評価の各手順における実務上の取扱いや留意点を問う問題等)の出題数を現行よりも削減する。

【鑑定評価に関する理論(演習問題)について】
・ 鑑定評価の一連の手順をすべて経て、鑑定評価書を完成させる形態を廃止し、出題内容の重点化を図る。
・ 具体的には、対象不動産の最有効使用をどのように判定するか、鑑定評価手法の適用に際し、何故その手法が有効なのか、鑑定評価の各手法の適用過程において特に留意すべき点は何かなど、不動産鑑定評価基準等を踏まえた鑑定評価の中心的なプロセスを有機的に理解しているか否かを問うことを主眼とするものとする。
・鑑定評価手法の適用過程における計算量を現行よりも削減する。

引用不動産鑑定士試験実施の改善について (国土交通省土地鑑定委員会)※PDFファイル」

受験生

文末にあるんやけど、計算量が減るってええな

人材不足、雇用の改善も影響?

この不動産鑑定士試験ですが、合格者の平均年齢は30代が中心となっています。

昨今の少子化により雇用状況も改善しており、合格まで時間が掛かる不動産鑑定士試験に挑戦するよりも、就職した方が良いと考える方もいらっしゃるかも知れません。

受験生

不動産鑑定士試験と比較したら、宅建とか超簡単やねん

また合格しても実務修習や修了考査にも合格する必要があります。

今後は?

今回の日本経済新聞の記事や国土交通省土地鑑定委員会の方針にあるように、今後は制度の見直しで以前よりも合格しやすくなるかもしれません。

令和元年度の合格者数は121名と、平成27年~平成29年度の100名前後から増えてはいますが、合格率は微増にとどまっています。今後の合格者数と合格率の上昇に期待しましょう。