ホームインスペクター試験(住宅診断士試験)の難易度、合格率、勉強法などについてまとめます。
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そもそもホームインスペクターとは?
住宅販売と言えば新築を思い浮かびますが、昨今の高齢化、空き家問題などを念頭に、従来よりも中古住宅の流通に力が入るようになりました。
中古住宅と言っても、状態の良いものから悪いものまでさまざま。そこで住宅の診断を行うのがホームインスペクター(住宅診断士)です。
(画像はイメージです)
これから需要が増える!?ホームインスペクション
実際にインスペクションを行うことにより売却価格が高くなる例もあり、今後、インスペクションの需要が増えそうな期待もあります。
家を売りに出す前に、インスペクションや瑕疵保険の加入、住宅履歴情報の登録を済ませて、高値売却を狙おう!
(中略)
建物部分の価格を数百万円単位でアップ!
中古住宅の購入者にとって最も心配なのは、欠陥住宅を掴まされることだ。特に築後15年、20年と古い物件ほど、劣化の進み具合が焦点となりやすい。逆に、もし目に見える形で中古住宅の品質を証明できれば、買主の不安を軽減し、物件の価値を高めることもできる。こうした買主に安心してもらうための方法が「インスペクション」「瑕疵保険への加入」「住宅履歴情報の用意」だ。それぞれ、かかる費用は10万~15万円程度なのに対して、売却価格を数百万円単位でアップさせることも不可能ではない。
「通常ゼロ査定とされる築20年以上の木造住宅でも、インスペクション等を行うことで、200万円~300万円アップする例は珍しくありません。ゼロ査定の建物が800万円で売れた例もあります」(価値住宅株式会社・代表取締役 高橋正典氏)
引用「ダイヤモンド不動産研究所」
インスペクションの費用以上に高く売れるなら、利用が増えるやろな
ホームインスペクターが行うのは「一次診断」
大きなトラブルの一つが「雨漏り」。この雨漏りだけを見ても、目視で分かる場合(瓦が割れているとか)もあれば、家を一部取り壊して初めて原因が分かる場合もあります。
このように精密に原因を探るの二次診断であり、建築士など専門職が原因究明にあたります。
もっとも高度な専門家による原因究明や住宅診断(二次診断)は費用が高額になりがち。
そこで登場するのが「JSHI公認、ホームインスペクター」です。診断は目視が主であり、二次診断と比較して簡易な診断であるものの、費用を押さえることができるメリットがあります。
【参考動画】「ホームインスペクションの仕事に密着、プロは不動産のここを見る!」
試験は簡単?難易度は?
一番気になるのが、試験の難易度です。後述するように、年度にもよりますが、合格率は30%台。難関の司法試験や司法書士試験などと比較すれば、高い合格率の部類に入ります。
もっとも試験は簡単とは言えません。このホームインスペクター試験では、各種法令のほか、戸建てやマンションの構造について出題されます。
したがって、建築士の有資格者がホームインスペクター試験を受験すれば、合格しやすいと言えますが、宅建の有資格者や一般の方だと、合格は簡単とは言い切れません。
ホームインスペクター試験の受験者層ですが、建築士、宅建の有資格者のほか、不動産管理(大家)や学生さんなどもいます。
▲ホームインスペクター試験の合格証。宅建合格者の私は合格できましたが、運に助けられました。
【私も合格】LECのホームインスペクター通信講座がおすすめの理由とは?合格者の声も多数掲載!
試験科目は?出題範囲は結構広い!
出題範囲は次の通りです(2022年1月現在、第15回試験向け)。
◆出題傾向
【建築分野概ね15問】
・住宅を主とした建築関連の法規に関する知識
建築基準法、建築士法、住宅の品質確保の促進法・住宅瑕疵担保履行法他関連法規に関する知識
2021年4月1日現在で施行されている法律に準拠(後記注意事項あり)
・住宅を主とした建築技術に関する基礎知識(二級建築士試験・木造建築士試験程度)
【診断分野概ね25問】
・住宅を主としたホームインスペクション実務(劣化の判断・調査、診断方法・報告書の作成)に関する知識
【不動産分野概ね5問】
・住宅を主とした不動産売買(取引の形態や契約に関すること)に関する知識
2021年4月1日現在で施行されている法律に準拠(後記注意事項あり)
【倫理分野概ね5問】
・ホームインスペクションを行うにあたり必要な倫理観
・ホームインスペクションを行うにあたり必要と思われるビジネススキル(コンプライアンス、モラル、マナー)
出題範囲が広うて、なんとなしに不安やで
もっとも試験は4肢択一のマークシート方式です。分からない肢でも、消去法で正解に近づけるケースも少なくありません。安心してください。
年度別の合格率を確認!
ここで年度別の合格率を確認しておきましょう。多くの年度で合格率は30%台と高いように思えますが、前述したように、属性(建築士の有資格者とか)により、難易度は大きく変わります。
実施回 | 合格率 |
---|---|
第13回 | 31.0% |
第12回 | 34.0% |
第11回(2019年) | 27.3% |
第10回(2018年) | 31.9% |
第9回(2017年) | 31.5% |
第8回(2016年) | 30.5% |
第7回(2015年) | 31.2% |
第6回(2014年) | 28.2% |
引用「過去の資格試験実績 – 日本ホームインスペクターズ協会」
分野別に合格基準点があるから注意!
また合格ラインを突破すれば合格できるわけではありません。分野別に合格基準点が設定されています。
したがって、配点の高いメイン分野「建築」や「調査診断」で高得点を獲得しても、マイナー分野である「不動産取引流通」や「倫理」で合格基準点に達しななければ、不合格になります。
参考記事「ホームインスペクター試験には分野別の合格基準点がある!建築・調査診断・不動産取引流通・倫理 | 人気のオンライン通信講座を徹底評価!」
合格に向けて効果的な学習法とは?
このように学習範囲が広いホームインスペクター試験。他の資格試験と同様に、公式テキストと過去問題集を中心にした学習が効果的です。
もっとも公式テキストは、400ページ以上あり、毎日10ページ読んでも、単純計算で40日もかかってしまいます。
実際には何度も読み返してマスターする必要があります
したがって重要ポイントを中心に講義が展開するLEC東京リーガルマインドの通信講座の受講がおすすめです。LECのホームインスペクター通信講座はこちら
2021年度の場合、コンパクトな10時間にまとめています。公式テキストを使用しての講義なので、試験対策の面でも安心です。
分野別(科目別)学習法
2019年度に公式テキストがリニューアルされました(「令和新版」)。したがって試験の出題傾向も、多少変わることが予想されます。
そこで令和元年に実施された第11回ホームインスペクター試験の講評を材料として、今後の効果的な科目別学習法についてコメントしておきます。
以下、公式サイトの令和元年本試験の講評ページから引用します。
全体の難易度
|総評|
平均点が34.9点となっており、全体としては例年並みの難易度と思いますが、建築・不動産分野の点数が低く、調査部門がおしなべて7割以上の得点率となっており、90%以上の方が正答できた問題も数問ありました。
調査分野については、本年改訂されたテキストを丁寧に読み込んだ受験者が、点数を獲得できたのではないでしょうか。
逆に、建築分野については、テキストには仔細に解説されていない選択肢もありましたが、基本的に「消去法」で正答を探し当てられたはずです。
来年以降、調査分野について、今年と同傾向であれば平均点が上がる事が予想され、より一層の学習が必要そうです。
講評内にある「調査」とは、4分野のうちのひとつで「調査診断」のことを指します。
令和元年(2019年)度試験では、テキストに沿った内容(記述)がそのまま出題される例もあり、かなり解きやすかった印象です。
この「調査」に限らず、他の分野においても「公式テキストの読み込み」および「過去問のマスター」が合格への近道と言えるでしょう。
建築
例年通り、二級建築士レベルの建築知識が必要な内容となっています。
50%程度の正答率の問題が数問あり、また、調査分野に比較して全体に正答率は高くありません。
テキストに解説の書かれていない選択肢のある設問もありますが、基本的な知識としては必要な事項です。
来年は、市販二級建築士テキストの関連部分などを解いて、実力をつけて下さい。
ホームインスペクター試験の受験者層は大きく分けて2つあります。現役の「建築士」と、「宅建試験の経験者」です。
建築士の方は得点源となる「建築」ですが、「宅建」の方にはイメージが湧きにくく、苦手とする方も多いでしょう。
そんな宅建経験者の方の合格戦略は次の通りです。
- テキストや講義で出てきた専門用語は、ネット検索(画像検索など)で確認する
- 深掘りせず、建築はテキストにある内容だけをマスター。他の分野の得点でカバーする
- 2級建築士のテキスト・問題集で補充する
「テキストや講義で出てきた専門用語は、ネット検索で確認する」。これは大切な学習方法です。通信講義でも講師の方が推奨されている学習法です。
実際にネット検索すると、時間や手間はかかりますが、実際の画像を見ると理解が格段に深まります。面倒でもぜひ実践してください。
次に「深掘りせず、建築はテキストにある内容だけをマスター。他の分野の得点でカバーする」。
これは本試験まで残り時間が少ない方向けの、現実的な合格戦略です。
公式テキストに出てくる専門用語(羽子板ボルトとか)、公式過去問題集の解説に出てきた単語(ねこ土台)とか、登場した単語だけを押さえて、あとは他の分野(調査診断とか倫理など)でカバーする方法です。
学習時間が満足に確保できない受験生の方は、このような学習法も検討してみましょう。
その際には、「部品の名称」「形状」「何のために使うのか?」、この3つをワンセットにして押さえるようにしてください。理解度が進むと同時に、記憶率も上がるはずです。
最後に「2級建築士のテキスト・問題集で補充する」。これは講評にもありました、「来年は、市販二級建築士テキストの関連部分などを解いて、実力をつけて下さい。」と。
「建築」は次の「調査診断」とならび、配点の高い2大分野です。2019年度は消去法で対応できましたが、今後は2級建築士関連の書籍で、知識の拡充も目指したいところです。
ただし消化不良には気を付けて。
ちなみに私の試験結果です。通信講座・テキスト・過去問題集はマスターしたつもりですが、「建築」は合格基準点ギリギリでした。宅建経験者の方はぜひ「建築」にも十分な対策を採ってください。
調査診断
出題は本年改訂されたテキストから多くありました。戸建編については全体的に平均以上の正答率となっており、新テキスト内容の理解や過去問題集への取り組み、各講習の受講が大いに役立っているのではと思います。
但し、集合住宅部門については正答率が半数程度と戸建編に比較すると悪くなっています。依頼者への報告義務があるのか、管理組合向けなのかをきちんと理解する上でも具体的な所で権利関係、所有区分についてもう少し知識を深める必要があるでしょう。
通信講座でも、建築とならび調査診断は大きく時間を割いているため、高得点が取れた受験生の方も多かった印象です。
過去数年の配点を見ても、調査診断と建築は大きな配点を占めています。ホームインスペクター試験のメイン分野とも言えますから、今後の試験でも「調査診断」は最重要分野と言えます。
またテキストにある記述がそのまま出題されるケースも少なくないため、努力量が効果に出やすい分野でもあります。ぜひ得意分野にしましょう。
ただし講評にもあるように、今後は知識の正確さにも力を入れてください
不動産
概ね例年と同様の問題が出題されており、不動産取引の流れの中における手付金、瑕疵担保責任、媒介契約の機能や役割に関する理解を問う内容となっています。
ただし、本年については、法律的な基礎知識を問うものや、当協会のインスペクションと宅地建物取引業法に規定されるそれとの相違点を問うものが含まれ、従来とはやや異なる傾向もみられたことから、正答率が低くなりました。
来年4月より民法が改正されますので、今後は不動産取引にかかる民法の改正点についてしっかりと学んでおく必要があるでしょう。
不動産の出題箇所には大きな傾向があります(手付とか瑕疵担保責任、媒介契約など)。
したがって比較的取り組みやすい分野ではありますが、講評にもあるように法改正が反映されている分野なので十分な注意が必要です。
最新の通信講座を利用されると安心です
また建築士の方が意外に得点を落とすのが、この「不動産」です。「建築」や「調査」と比較して、配点こそ低い分野ですが、分野別合格基準が採用されているので、ぜひ気合を入れて学習してください。
倫理
協会作成の業務契約モデル約款に関する問題の正答率が、他に比較し極端に低かったようです。
JSHIにおいては、単なる技術的な事や、倫理観を問うだけでなく、ホームインスペクターがプロとして報酬を得るために民法、商法なども含め、いわゆる「商人」として如何に振る舞うかも大事と考えており、その為の知識は必須です。
分野としての設問数が少ないだけに、今後、この類の問題が増えた場合、取りこぼし無いようにしましょう。
得点源にしやすい「倫理」。個人情報など最近の話題もありますが、社会常識で正解にできるケースも少なくない「おいしい分野」です。
もっとも講評にあるように、正答率が低い出題がされるケースもあります。
どうしたらええねん
そんな「倫理」ですが、公式過去問題集の問題を確実にマスターして、分野別合格ラインが突破できればいい、そのような姿勢が現実的です。
そして捻出できた時間で、メイン分野である「建築」と「調査診断」の得点力アップを目指す、このような戦略がおすすめです(というかベスト)。
的中なるか?直前講座も用意
また2019年度の場合だと、直前講座も用意されています。これは本試験直前に実施されるもので、今までの学習の集大成という位置づけです。
東京でのライブ講義での実施ですが、収録講義が通信講座として発売されています。遠方の受験生の方はこちらを利用されるといいでしょう。
まとめ
ここまでホームインスペクター試験の合格率や勉強法などについてまとめてきました。
ホームインスペクター試験は民間資格であるものの、難易度的には決して簡単な試験とは言えません。
住宅の欠陥は、生命にかかわる場合もあります
そうですね。社会的な役割からも、試験が簡単ではないのは納得です。ぜひ公式テキスト、過去問題集、通信講座などを利用して、合格に向けて頑張ってください。